その他の都市の老舗

その他の都市の老舗

岩手は鉄器で有名な土地岩手は鉄器で有名な土地

日本には東京、京都、金沢以外にも当然、いろいろな文化や伝統工芸が存在しています。それぞれの地域で、それぞれの日本人が独特の文化を育んできた地域性があり、そのバラエティー豊かな地域の文化が日本の原動力になっています。

鉄器も生活の中に取り入れたい和雑貨鉄器も生活の中に取り入れたい和雑貨

そこで今回は、東京、京都、金沢など古くからの文化が現代も色濃く残っている都市でなく、その他の地域にある伝統工芸や和雑貨の老舗をチェックしてみたいと思います。

東北、日本海側など経済的に「遅れ」をとっている地域にもいろいろな老舗がある

富山の高岡は銅器の町富山の高岡は銅器の町

裏日本、表日本などという差別的な言葉が以前はありましたが、金沢が日本海側にあるように、現代的な経済的尺度で見た場合の「田舎」にも伝統工芸や文化が存在し、古くから営まれている老舗も存在します。例えば、

岐阜にもちょうちんはインテリアにもなる岐阜にもちょうちんはインテリアにもなる

などは典型例だと言えます。江戸時代は徳川幕府が諸藩の代表として国を統治していましたが、実質的には地方分権が残っていたので、日本全国に優れた人物、優れたリーダー、優れた文化が花開いた時代でもありました。その江戸期数百年で日本は地方にも世界レベルの文化が形成されたのです。日本の強さを考える上でも非常に重要なサンプルなので、少し詳しくみてみましょう。

1:南部鉄器の『岩鋳(いわちゅう)』

南部鉄器はとにかく美しく、岩手県で育まれた文化ですが、同地の良質な鉄を生かした鉄器は世界的にも評価されています。
400年以上続く南部鉄器の歴史の中で世界的な認知度を手にした老舗は、『岩鋳(いわちゅう)』です。オーストリッチに似た凹凸が美しい、伝統的なアラレ模様の鉄器をリリースし続けながらも、最近では流線型のカラフルな急須を作ったり、電磁調理器対応の丸鍋を作ったりするなど、現代への適応も忘れていません。
ニューヨークの近代美術館にも注目されるほどの老舗です。製造工程の見学も可能なので、東北旅行ではぜひとも立ち寄りたい場所の1つです。

岩鋳(いわちゅう)
岩手県盛岡市南仙北2−23−9
019−635-2501
営業時間:8:30から17:30
無休

2:鋳物の『能作』

江戸時代に一大文化の花が開いた加賀藩の支藩だった富山でも、和紙や銅器などの文化が発達しました。特に富山県内にある高岡という都市では仏具や花器の鋳造、金属加工が発達し、その文化や技術が今でも生き残っています。
中でも『能作』は地元を代表するような老舗であり鋳物メーカーでもあります。古い伝統技術を守りながらも、現代的な感性にも対応するべくデザイナーと共同で、いろいろな新商品をリリースしています。
トレーや文鎮、風鈴、鍋敷きなどいろいろな和雑貨があり、木製の和雑貨とはまた異なる趣があります。カフェを併設したギャラリーを工房の近くに持ち、『能作』の作成した器を使って甘味などを楽しめるチャンスもあります。非常に素敵な空間なので、北陸旅行の際には必ず立ち寄りたい場所の1つです。

能作
富山県高岡市戸出栄町46−1
0766−63−5080

3:岐阜提灯の『浅野商店』

全国の老舗を訪ねる旅行も面白い全国の老舗を訪ねる旅行も面白い

現在でも日本的な町並みで多くの観光客を集めている岐阜ですが、その岐阜にも300年以上の歴史を持つ伝統工芸、岐阜提灯があります。その岐阜提灯の老舗でありながら、海外のデザイナーとの共同作業やLEDライトを使った新作ライトをリリースするなど、積極的な活動が目立つお店が『浅野商店』です。
ちょうちんは照明の中でも「畳める」という他にない最大の特徴があり、その特色と和紙を通した光の美しさが世界的に評価されています。
日本的な文化が見直されている今、インテリアのライトを変える予定があるのなら、『浅野商店』で新しくも懐かしい照明を選んでみても面白いと思います。

浅野商店
岐阜県岐阜市本町2−25
058−265-3011