東北の伝統和雑貨

東北の伝統和雑貨

岩手は南部鉄器が有名岩手は南部鉄器が有名

地方都市に発展した文化を見るたびに、日本の底力を感じます。
東京や大阪、京都など大都市にしか文化が発展していないのではなく、北海道、東北から九州、沖縄、さらに本州の日本海側に至るまで、日本全国におもしろい伝統工芸の文化が育まれている、その地域性こそが日本の底力なのです。
そこで今回は東北にある伝統工芸、伝統和雑貨を取り上げたいと思います。

岩手県の南部鉄器

秋田の男鹿半島。秋田は曲げわっぱで有名秋田の男鹿半島。秋田は曲げわっぱで有名

最初の伝統工芸は、岩手県の南部鉄器です。南部鉄器に関しては日本のみならず、世界中にファンがおり、そのフォルムの美しさと機能性、丈夫さが共存した鉄器文化は今も発展をし続けています。伝統工芸にとどまらない進化し続ける南部鉄器は、ニューヨークの近代美術館にあるカフェで使用されるなど、世界的な評価を受けています。
南部鉄器は数十の工程で作られており、その鉄器を作る職人は1人前になるために15年ほどの時間を要すると言われています。一度温めると熱が逃げにくく、長時間、中の料理や飲み物を温め続けられる特徴もあり、最近では電磁調理器対応なども続々と開発され、さらなる飛躍を見せています。
南部鉄器が岩手県で盛んになった理由は、良質な鉄資源を産出する土地と、鋳物産業に適した東北ならではの気候があるからだと言われています。岩手県にある各工場は製造工程の見学も受け付けてくれるので、旅行に訪れたついでに工房を訪ねてみても面白いです。

秋田県の曲げわっぱ

岩手県の南部鉄器と同じくらい有名な東北の伝統工芸が曲げわっぱです。わっぱという生活道具をご存じない方のために簡単な説明を試みたいのですが、岩波書店の『広辞苑』を見ると、

  • わっぱ【輪っぱ】曲木製の食物容器
東北旅行の際は雑貨屋や伝統工芸の工房を回ろう東北旅行の際は雑貨屋や伝統工芸の工房を回ろう

と説明があります。杉やヒノキなどの薄い板を曲げて、山桜の皮で固定した筒状の木製容器をわっぱといいます。イメージとしては、学校の校庭にある陸上トラック型の木製容器といった感じです。
曲げわっぱの弁当箱、トレー、フルーツボウルなど、いろいろな器にその技術が応用されており、木目の美しさ、香りの良さなどからたいへんな人気がある伝統工芸、伝統和雑貨です。
また、南部鉄器と同じく伝統工芸を守るだけでなく、顧客からの注文や要望を積極的に取り入れていろいろな形に挑戦し続けている積極性が、曲げわっぱを育てる原動力となっています。工程としては、薄くむいた秋田の杉やヒノキを煮て柔らかくしてから曲げ、最後は山桜の皮で縫い、固定する流れになります。

東北旅行の理由の1つに

単にその土地を訪れる旅行も楽しいですが、何らかの目的を持って訪れる旅行もまた楽しいものです。幸い日本には豊かな地方文化が存在し、秋田や岩手などには世界的にも有名な伝統工芸、伝統和雑貨の曲げわっぱ、南部鉄器が存在します。
本場から買い求めるのならばネット通販でも十分ですが、旅行を兼ねて地元の名匠を訪ね、製作過程を見学した上で購入した方が、持ち帰った後からの扱い方にも違いが出てきます。東北の伝統工芸、伝統和雑貨を訪ねて、ご旅行に出掛けてみてください。